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メディア

2017.12.7 [thu]

軟骨再生治療法の企業治験開始に関する
記者発表が行われました。

12月6日(水)に軟骨再生治療法の企業治験開始に関する記者発表が医学部附属病院で行われました。

発表された研究成果は、CoMIT参画プロジェクトにおいて中村 憲正 招聘教授(国際医工情報センター)、吉川 秀樹 教授(大学院医学系研究科 整形外科学)、澤 芳樹 教授(心臓血管外科学)らの研究グループによって発明されたシーズのひとつで、滑膜由来の間葉系幹細胞(MSC)を用いたスキャフォールドフリー三次元人工組織を利用して、これまで難治性で有効な治療法がなかった軟骨損傷に対して、軟骨の修復を図る技術です。今回の企業治験で行う軟骨再生治療法ではこの技術が利用されています。

今回、この技術の実用化への最終段階として実施される企業治験は、同プロジェクトに参画する株式会社ツーセルが、膝関節における外傷性軟骨損傷患者さんおよび離断性骨軟骨炎の患者さん(靭帯損傷や半月板損傷などの合併症がある患者さんを含む)を対象に、膝軟骨再生細胞治療製品(開発番号「gMSC®1」)を移植した際の安全性および有効性を標準治療法であるマイクロフラクチャー法と比較・検討することを目的に実施されます。なお、日本におけるgMSC®1の共同開発権、独占的販売権、また海外においては優先交渉権を保有している中外製薬株式会社がこれまでの臨床開発経験を生かし、ツーセルの臨床開発が円滑に進むよう助言を行っています。
gMSC®1は、同種(他家)移植用の再生医療細胞製品です。

他家MSCを用いた再生医療の実用化が進めば、自家移植(患者さん自身の細胞を使って移植)と比べて治療時間の短縮とコスト軽減が予想されます。gMSC®1は、他家MSCを用いて、1人の細胞が1,000~10,000人の再生医療に役立つ他家移植用細胞製剤を作製できる可能性がある製品です。今回、治療目的の他家細胞の保存を目的に医学部附属病院未来医療センターに幹細胞バンクが設立されました。将来の商業利用を可能とした幹細胞バンクの設立は本邦初となります。

「本治療法が実用化されれば、多くのスポーツ外傷の患者さんにとって有効な治療法を提供できる可能性があり、さらには、軟骨損傷を治療することにより、世界で潜在人口3千万人といわれる変形性関節症の発症予防が期待されます。我が国における他家細胞を用いた再生医療の扉を開くことが期待されています。」(中村憲正 招聘教授)

記者発表の様子

発表者
中村 憲正 招聘教授(国際医工情報センター
吉川 秀樹 教授(大学院医学系研究科 整形外科学
澤 芳樹 教授(大学院医学系研究科 心臓血管外科学
名井 陽 センター長(大阪大学医学部附属病院 未来医療センター

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